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時短勤務なのに残業強制は違法?残業代はどうなる?法律の観点から解説

育児短時間勤務のワーママを悩ませるものといえば「残業」です。保育園のお迎えの時間が決まっている以上、帰る時間は自ずと決まってきます。それなのに、時間内で仕事が終わらず、同僚への迷惑やしわ寄せを考えて、残業を余儀なくされた経験がある人も多いと思います。

ですが、それでは時短勤務での復職を選んだ意義が薄れてしまいます。 そもそも時短勤務期間中に残業を強制されることは違法なのではないでしょうか? 残業代の取り扱いも含め、詳しく見ていきましょう。

育児短時間勤務なのに残業…それは必ずしも違法とはならない

育児短時間勤務中(子どもが3歳未満)の残業は違法ではありません。ただし、本人が会社に対して申し出れば、事業主(会社)は残業をさせてはなりません。会社側がそれを拒否し、時短勤務者に残業をさせているようであれば違法になります。

厚生労働省の「育児・介護休業制度ガイドブック」によると、「3歳に満たない子を養育する労働者が子を養育するため、又は要介護状態にある対象家族を介護する労働者がその家族を介護するために請求した場合には、事業主は所定労働時間を超えて労働させてはならない」となっています。

※参考:厚生労働省

育児介護の時短勤務で残業が求められた場合には、こちらから残業の免除を請求すれば、残業をしなくてよいということです。しかし、請求しなれば、法律上も時短勤務の残業は問題ないことも覚えておきましょう。

時間外労働の免除申請が必要

請求した場合には残業は免除となり、そのケースを「所定外の時間外労働免除の請求」といいます。時短勤務なのに意図しない残業が多い、残業したくない、またはできない、と悩むのであれば、請求するだけで解決しますので、一人で悩まずに人事に話すようにしてみるとよいでしょう。法律で「3歳までの子を育てる労働者の請求によって時間外労働免除をする義務」が決められているためです。

会社からの残業強制は違法

申請を行っているのにもかかわらず、残業を命令された場合は違法になります。もし裁判になったとしても、間違いなく勝てる案件です。ですが、「仕事が終わらないのに退社すると迷惑がかかる」「同僚にしわ寄せが行き迷惑がかかる」など、このような気持ちで悩んでしまうのも無理はありません。法律上は問題ないことなので、断ること自体に問題はありませんが、感謝の気持ちも伝えるようにしましょう。 このようなコミュニケーションがうまくいかないと、仕事にも支障が出る可能性があります。

【関連記事】「時短勤務は迷惑なのか?」そのような悩みがある人が読むべ き4つの解決策

子どもが3歳になると残業命令は断れない?

ここまでの話は「3歳に満たない子を養育する労働者」への措置の話でした。では、3歳以降はどうなるのでしょうか。

3歳以降の子供は、自分でできることや行動範囲が広がるため、逆に手がかかるようになってくる時期です。まだまだ残業や長時間勤務は難しいのに、残業命令がきたらどのようにすればいいのか、不安に思われている方は少なくないでしょう。その点も含め、ご紹介いたします。

子どもが小学生になるまでは時間外労働が制限される

前述の、厚生労働省「育児・介護休業制度ガイドブック」には、以下のような記載もあります。 「小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者がその子を養育するため、又は要介護状態にある対象家族を介護する労働者がその家族を介護するために請求した場合には、事業主は制限時間(1か月24時間、1年150時間)を超えて時間外労働をさせてはならない」

※参考:厚生労働省

このように決められているため、1か月24時間、1年150時間以上の残業で悩んでいる方は、請求することで解決します。 合わせて、適用条件も見てみましょう。

対象労働者

小学校就業の始期に達するまでの子を養育する方、要介護状態にある対象家族を介護する方

※以下は除く

  • 日々雇用される労働者
  • 入社1年未満の労働者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
期間 1回の請求につき、1ヶ月〜1年以内
回数 制限なし

手続き

開始日の1ヶ月前までに書面もしくはメールなどで事業主に請求(会社が適当と思える手段で行う)

例外 事業の運営を妨げる場合は、事業主は拒否できる

【関連記事】子どもが小学生になっても時短勤務を続けられる?法律とフルタイム復帰の関係

時間外労働とは?残業との違い

ところで、「残業」と「時間外労働」の違いはご存じでしょうか?上記の措置は時間外労働に当たります。実際に何が違うかご紹介いたします。

  • 残業=会社の就業規則で決められた時間を超えて働くこと(=所定外労働)
  • 時間外労働=労働基準法で定められている1日8時間または週40時間を超えて働くこと

先ほどの「時間外労働が1か月に24時間まで」という時間外労働の制限に当てはめてみると、週5日(月20日)で平均した場合、残業時間としては一日1.2時間(24÷20=1.2)ということになります。たとえば、8時半〜17時半の8時間勤務のママの場合、平均して残業できるのは18時42分までになります。

また年間通して150時間のため、全ての月で24時間まで残業はできません。最大24時間として考え、平均で見ると12.5時間までになります。(150÷12ヶ月)

企業に課される努力義務とは

しかし、実際は18時42分退社では保育園のお迎えに間に合いません。子育てをしていると、そのような問題はどんどん出てきてしまいます。基本的に、事業主はワーママの就業環境に対して配慮をしなければなりません。これは事業主が取り組まなければならない「努力義務」とされています。

ご紹介したものは、あくまでも法で定められた内容です。努力義務の結果、育児短時間勤務をしている社員に配慮した独自の制度を設けている企業も多数あります。もし悩まれた際は、自社の就業規則をいま一度確認してみるのとよいでしょう。

残業代はもらえる?もらえない?時短勤務と残業の関係

法律から見た残業の可否もわかったところで、気になるのは残業代の取り扱いです。しっかりもらえるのか?もらえないのか?詳しく解説していきます。

労働基準法の規定にのっとり残業代は支給される

結論からいうと、残業代は支給されます。時短勤務だからといって支給されないということはないのでご安心ください。

基本的には、一般的な勤務と同じ取り扱いになるため、労働基準法の規定通りに残業に関する処理が行われるようになっています。たとえば1時間の時短勤務としている場合、設定されている時間よりも1時間残業してしまった時は、その1時間分は通常の給料が支払われます。そして、それ以上残業した時には25%の割増賃金が支払われるという仕組みです。そのため1日8時間以上の勤務をして残業するのであれば、労働基準法の規定通りに残業代が支払われるのが基本となります。これは早朝出勤した場合にも当てはまります。ただし、1日8時間以下の勤務の場合は、残業をしても割増の残業代は発生しません。

1日の勤務時間が8時間を超えない場合は?

8時間を超えない場合の残業(時短の6時間勤務であれば、1~2時間以内の残業)であればどうなるのでしょうか?8時間を超えない部分は時間単価だけが支払われます。つまり割増賃金なしの通常の給与分の時給になります。6時間を超えたから時間外労働が発生するだろうと考えていると、勘違いすることになりますのでご注意ください。事業主は8時間を超えない部分に関しては割増賃金を支払う必要がないのです。もちろん通常の時間単位分が支払われないのは違法です。

残業の強制・マタハラに悩んでいたら

しかし、上記の内容はあくまでも法の観点としての原則です。実際は、いつものように残業を強制されて悩んでいる人、悩みを解決できずつらい思いをしている人がいるのではないでしょうか?

残念ながら、マタハラ気質の会社は未だに存在します。そのような会社で働いている場合は、時短ハラスメントに際して労働基準監督署に駆け込む、弁護士に相談してみる、というのも有効な方法です。

ですが、「そこまでして会社に残りたいのか?」と一度考えてみることをおすすめします。たくさんのパワーを使って訴えても、残るものはごくわずかである可能性が高いです。 もし、残業によって時間通りに帰れないという悩みがあるのであれば、マタハラ気質の会社に残るよりも、退職・転職したりすることも一つの手です。

気軽な時短勤務の働き方としては、短時間の派遣勤務という方法もあります。悩まれている方は、一度探してみるのもおすすめです。

短時間ワーク

まとめ

  • 短時間勤務にも関わらず、残業させられること自体は違法ではない
  • ただし、事業主に請求すれば、事業主はそれを拒否することはできない (3歳未満の子どもを養育している場合)
  • 子どもが3歳〜小学生になるまでの場合は、請求すれば時間外労働は制限される (月24時間、年間150時間以内)

これらのことを覚えておくと、残業での悩みを解決できるかもしれません。ですが、それでも解決しないという場合には、正社員にこだわらず、短時間勤務で働きやすい派遣という働き方を検討してみるのもおすすめです。 無理をせず、自分に合った働き方を探してみてくださいね。

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