働き方

時短勤務中の退職金の計算方法【時短給料と育休・勤続年数の取り扱い】

育休から復職しての時短勤務、思っていたよりもつらいですよね。周りの時短勤務者からも聞くことがあるのですが、同僚の冷たい目線や育児との両立に心身ともに消耗し、退職を考えてしまうのもやむを得えないと思います。ワークライフのバランスをうまく取ることに悩みを抱えるケースはあるものです。ところで、時短勤務中の退職の場合、退職金はどのように計算されるのでしょうか?時短勤務で下がってしまった給料の取り扱いや、時短勤務と勤続年数の関係について解説いたします。

時短勤務中の退職金の計算

時短勤務中に下がった給料(基本給)の額面は退職金の計算に影響していくのでしょうか?育休期間や時短勤務期間も、勤続年数として含まれるのでしょうか?色々悩む点があると思います。これらを解説しながら退職金の計算方法をご紹介します。

時短勤務での基本給減額は退職金に反映されない?

まず退職金の計算方法から紹介いたします。皆さんはご存知でしょうか。

退職金 = 基本給 × 勤続年数に応じた支給乗率が一般的な計算方法です。

※退職金の計算式が【基本給×勤続年数に応じた支給乗率】だったと仮定

まず結論からいうと時短勤務だからといって、フルタイム勤務の時よりも退職金が減ることはありません。ただ就業規則に、「退職金の算定に当たっては、時短勤務期間の基本給は通常勤務時の75%と算定する」の旨が明記されている場合は時短勤務の退職金が減ることになります。

例えば、フルタイム(8時間勤務)の基本給が20万円だった場合、6時間の時短勤務に変わると、基本給は8分の6、つまり15万円となるのが一般的な相場です。【基本給×勤続年数に応じた支給乗率】の式で考えると、時短勤務期間の基本給は「15万円」として計算されるのか?それとも「20万円」で計算されるのか?どちらになるのでしょうか。

フルタイムと時短勤務の基本給の違い

勤務形態 基本給
フルタイム(8時間勤務) 20万円
時短勤務(6時間勤務) 15万円

上記でも記載した通り、就業規則に明記されていない限り、退職金は時短勤務だからといって減額されることはありません。そのため20万円×勤続年数に応じた支給乗率になります。もしお悩みの方がいれば、自社の就業規則を見てみると良いかもしれません。

時短勤務期間は勤続年数に含まれない?

時短勤務期間中を勤続年数に含まない会社があると聞いたことがあります。ただこれは違法です。時短勤務制度は原則1日6時間の短時間勤務ができる制度です。時短勤務中も勤務時間である以上勤続年数に含まれます。育児休業や短時間勤務制度を利用したことを理由に、事業主が従業員に不利益な取り扱いをすることは法律で禁止されています。

就業規則への明記があれば別だが、短時間勤務制度を利用したことにより、実際に勤務した時間も働かなかったように扱うことは、不利益な取り扱いに該当します。短時間勤務制度を利用している期間を退職金の算定から一切除外する会社の対応は、違法であると考えられるため、そのような対応があった場合は法律の観点から人事に話すようにすると良いと思います。

育休期間は勤続年数に含まれない?

こちらも同様に、就業規則への明記がポイントになります。そもそも会社ごとに任意に退職金規定を設定しても違法とはなりません。「育児休業法第10条」では育児休業を取得したことにおいて不利益取扱をすることを違法としているので、育児・介護休業を取得した期間を勤続年数にカウントしないというのはこの条文に抵触する可能性があります。しかし、多くの就業規則のサンプルでは「育児休業は勤続年数にカウントされない」といった規定になっているため、明確には判断できないが「カウントされない=違法とはならない」と考えてもおかしくありません。

育児・介護と退職金の関係は就業規則に記載する義務がある

ここまでの話で就業規則に明記があるか否かがポイントとなることに触れてきました。しかし育児・介護にまつわる休業と退職金の関係は、これまでとは異なり就業規則に明記しなければならないと労働基準法で定められています。

労働基準法第89条第3号の2から第10号までに定められている事項(退職手当、賞与等臨時の賃金、職業訓練等の定め及びその他労働者のすべてに適用される定め)は、その定めをする場合においては就業規則に記載しなければならないいわゆる相対的必要記載事項ですから、育児・介護休業期間中の教育訓練や賞与等臨時の賃金等について定めをする場合には、それらに関する事項を就業規則に記載する必要があります。

※参考:厚生労働省「就業規則における育児・介護休業等の取扱い」

よって時短勤務に関する内容が就業規則に明記されていないにも関わらず、時短勤務中に減額された基本給を退職金計算に反映したりすることは不利益な取り扱いになります。さらに時短勤務期間を勤続年数に含めないような扱いを強いることも、不利益な取り扱いに該当されるので事業者は注意しなければいけません。もし自組織でそのようなことがあれば、法律の観点から訴えても問題ないことを覚えてください。

ワーママが退職してしまう理由

これまで退職金についてご紹介していたのですが、そもそもなぜワーママがやめてしまうのか。それに関してご紹介したいと思います。

パターン①:勤務形態がきつい

復帰したものの「早番遅番のシフト制」「立ち仕事でしんどい」「土日祝日も出勤」などがあります。子育てでこれまで以上にワークライフバランスが求められるようになった際に、勤務形態がきついと続けられなくなるケースがあります。周りの同僚にも迷惑をかけることもあるので、それが嫌でやめてしまうケースがでてきます。

パターン②:育休後復帰できずに退職

私の友人にも数名いるのですが、保育園が見つからない問題があります。特に都内だと待機児童も多く、保育園が見つからず止む無く退職してしまうケースがあるのです。また家庭環境上難しくなることや、自分の考えが変わり子育てに注力したいなどで退職するケースもあります。注意するべき点は、「育児に専念するために退職すること」は失業と見なされないため、失業手当をもらえないです。

このようなパターンがあることで退職されるワーママは多いです。

復職をしたが時短勤務がつらすぎて退職

上記に繋がりますが、パターン①のように勤務形態が厳しく退職してしまう方がいます。その方がどのような気持ちなのかいくつか書き出して見ます。

  • 同僚の冷たい目線がつらい
  • 急な休みが多くなり会社に迷惑をかけてばかりでつらい
  • 責任のある仕事を任せてもらえずモチベーションが上がらなくてつらい
  • 仕事が終わらなくて帰れなくてつらい
  • 育児との両立がつらい

このような悩みを持つ方はたくさんいるはずです。できるだけなくすために、周りからの支援が必要です。仕事が終わらなくて辛いなどの意見は周りの方の支援が必要です。周りの方の理解を深める研修や、自らの発信を意識するようにしましょう。

育休から復職することなくそのまま退職

パターン②で紹介したものをまとめると、

  • 保育園が全然決まらない
  • 家庭の事情が変わった
  • 自分の心情が変わった

があります。ただこの際に覚えて欲しい点は、雇用保険から支給される育児休業給付金の返金義務はないこと、これまでの勤続年数により、退職金をもらうことも可能ということです。検討されている方はご安心頂けると幸いです。

退職して働き方を変えてみるのも一手

退職した際は、退職金も支給されるので、まずは少しゆっくりと心身を休め、今後のキャリアを考える時間を作ってみてください。子育ては一生の中でもその時しかできないことばかりです。そのうえで、正社員での時短勤務が厳しかった、つらかったのなら、「派遣」「フリーランス」「パート」という働き方を行ってもいいかもしれません。雇用は自ら選べるものです。時短で働けるものもたくさんありますので、ぜひ一度検討してみてもいいかもしれません。

まとめ

・時短勤務中の基本給(減額)と退職金は、就業規則に書かれていない限り関係はない。

・時短勤務中も勤続年数に含まれるため、退職金の計算の際に時短期間も入る。

・就業規則で育休中は退職金計算に入らないことと明記されている場合はカウントされない。

・自社の就業規則を確認する

  1. 時短勤務中の基本給分の減額分で退職金が計算されていることが明記されていなければ、フルタイムと変わらない。
  2. 育休中は退職金計算の範囲内か外かで退職金額が変わる

以上になります。「雇用形態を変えたい」と思われている方や「退職を検討されている」方の参考になれば幸いです。